小説

ブギーポップは笑わない | 上遠野浩平

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ブギーポップは笑わない
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「ブギーポップは笑わない」


今回はライトノベルというジャンルが今のように大規模な
ものになる元を作ったような作家のお一人をご紹介いたします。


「上遠野浩平」さんの「ブギーポップは笑わない」は第4回電撃ゲーム
小説大賞受賞作品です。
「ブラックロッド」の「古橋秀之」さんなどと一緒に一つの流れを作った
ような方ですね。

内容もざっくりと言ってしまうと、都市伝説を中心に物語が進むような作品で、
前回ご紹介した「デュラララ!!」と似たようなタイプの作品です。
その流れで今回は「ブギーポップ」を取り上げることにしました。

ブギーポップとは「世界の敵」と戦うために一人の少女の中から浮かび上がってくる、
ブギーポップと名乗る別人格です。
この人格は異常な能力と力を発揮し敵と戦っています。
様々な夢や、希望や、あきらめや、悩みや、いろいろな思いを持っている少年少女達が
このブギーポップと絡んでゆく物語ですね。


この作品もまた、思春期の少年少女たちが物語の中心です。


この後、いろいろなライトノベルの文庫が創刊されていきました。
この頃はまだ「ライトノベル」という言葉ができてそれほど定着していなかった
時期だったと思います。

レーベルもまだ少なく「スニーカー文庫」や先の「電撃文庫」
「富士見ファンタジア文庫」などが有名でした。
電撃文庫は一番後発だったと思いますが、一番有名にもなった文庫ですね。

この後からやたら新しいレーベルが創刊されていき、今では全てのレーベル
を知りません。
今では50近のレーベルがあるのではないですかね。

完全に多すぎると思えるほどです。
時々本屋で、「なにこのレーベル」ということが多くなりました。

でもここまで増えてくると頭打ちになってくるのではないかと思えますし、
いろいろと作家とのトラブルも増えているようです。
けっこうライトノベルからはトラブルの話を聞くことが多くなりました。

人気が定着していますが、いずれは減ってくるのではないでしょうか。
今までも出版の世界では当たり前におこってきた現象です。

雑誌などがそうなんです。
すごく増えて、増えすぎて消えて行くというを繰り返しでした。


我々のような人間は、ライトノベルってなに───と言う感じでしたね。
まだ、「ラノベ」とも一般的に呼ばれていませんでした。

この頃は、やたらとBLが次々と創刊されていって、遅れるような感じで
ラノベの人気が上がっていった時でした。
爆発力は「BL」の方がありましたね。

出版の世界でもっとも動きがあったのが「BL」でしたから。


「上遠野浩平」さんがデビューされた時はなかなかにインパクトが
ありました。
当時も今も、アニメ化するための原作のような作品が多くてかなり強い
不満を感じていたときでした。

ただ当時はまだライトノベルがアニメの原作のようになっていませんでしたね。
漫画がアニメの原作のように扱われていた時代です。

いまやこれは当たり前のようになっていますが。


アニメのように見える小説ではなく、読む小説という当たり前の作品
で勝負して確か電撃大賞を受賞されています。
この時期、前後しますがそういう方は少しはいましたね。
今はよく知らないのですが。

とにかくどの作品も同じような設定で、同じようなキャラクター、同じような
文体といった感じでした。
その中で「読む小説」ということで確か選考委員も高く評価していた作品
だったと思います。


「ブギーポップは笑わない」は電撃文庫ではそのときの最も売れた
ライトノベルであったらしいのです。

なぜ今回「ブギーポップは笑わない」を取り上げたのかは、前回取り上げた
「デュラララ!!」や「物語」シリーズの最初のような作品だったからです。
物語シリーズの作者、「西尾維新」さんはこの「上遠野浩平」さんに非常に
影響を受けたとおっしゃっていますが、それはとてもよく分かります。

同じような視点を持った作品とでも言いますか、タイプが同じですね。


「ブギーポップ」はアニメにもなっていますが、あまり良い評判では
なかったのではないですかね。
実写映画化もされていますが、話題になっていたような印象はありません。

もともと映像で見ても面白いものになるとは思えなかったですね。
と、いうよりも映像で見たくなるような作品でもなかった。

こういう作品はけっこうあります。
「銀河鉄道の夜」もそうですが、映像化されていますがなかなか成功
していません。

個人的には影絵のようなタイプが一番原作のイメージに近いものになるの
ではないかと思っています。
また熱烈なファンがいる場合、十人いれば十人のイメージがあるので全て
を納得させるものはできませんし。


映像的に撮るのは問題はないのですが、映像で見ても面白いのかという作品
もあるのです。
「村上春樹」さんの作品はたいていそうですね。

「ノルウェイの森」が実写映画化されていますが、評判にもなりませんでした。
大ヒットしていまだに人気が衰えない「ノルウェイの森」ですから、菊地凛子
さんなどは出たいと直接交渉までしています。
ノルウェイの森


でも、こういう作品は小説としては大変質の高い作品なのですが、これはあく
までも読んで面白いものですから、映像化されるためのものではないとも
言える。

映像としてみたいとは思わないのが、自分も「ノルウェイの森」は読んでい
ますが、正直な意見ですね。

もしこれらの作品を映像化しようと考えるならば、原作に忠実であっては
全てを台無しにします。
それこそ原作ではなく、原案ぐらいにとどめておいて思いっきり映像用
になおしていった方が良いのではないか思えます。

ただし全世界的な人気作品だけに、間違いなくイメージが違うとか言われる
でしょうし、原作者の許しがないことにはできませんね。
ですから、良く映画化したいと思ったなが偽らず意見です。

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◆上遠野浩平さんの他の作品。

この「ブギーポップは笑わない」は、実は個人的には苦手な作品です。

ですが「上遠野浩平」さんの作品は好んで読んでいます。
「ブギーポップ」シリーズだけが苦手で、他の作品は好きなのです。

作者である「上遠野浩平」さんはブギーポップシリーズはお気に入りらしく、
また商業面でももっとも成功したシリーズです。
ですが「ナイトウィッチ」シリーズのような作品の方が好きなのです。


「ブラックロッド」などもそうなんですが、SFの設定、またはホラーの
設定を幻想小説の方法で描いているところがあります。

設定や緻密なストーリーを優先するのではなく、イマジネーションを優先
しています。
ですがイマジネーションを優先させると作品としてまとまりにくく、それを
描けるのはやはり実力がある方でないと無理なのです。


まるでアニメの原作のようなノベルが悪いとは思っていません。
それも一つの方法だからです。
できるだけ文字数を少なくして、かつ読み手にダイレクトにイメージして
欲しいというのはよく分かります。

これは昔の作家さんも指摘されていましたが、「漫画のような小説」
今では、「アニメのようなノベル」と言い換えても良いかもしれません。

そればかりが増えてくると、小説そのものの意味はなくなるのではない
かとなってしまうのです。

「このライトノベル、アニメなら良かったのに」ではなく、「アニメ
よりもライトノベル」の方が面白かったでなければノベルそのものが
衰退しかねません。

サークル活動しているときは良く聞いたのです。
この漫画、またはノベルはアニメしたらという話を。
少し人気が出るとすぐに「アニメ」でしたね。
映像化しても、アニメにしてはまずいだろうという作品もあるのです。


そういう意味では「上遠野浩平」さんなどは作品の質を含めてもっと
評価されて良いと思います。

ただ「スレイヤーズ」の「神坂一」さんのように、上手く成功させている
例も数少ないですがまれにあります。

今までの小説の盲点を突いたところがあって、面白いですね。
これが出てきたときは少なからぬの人が──この手があったかまたは
やって良かったの──と、思ったとおもいます。

これはアニメも良いけど、もっと「小説」の方が面白いという珍しい
作品です。


実は、童話や昔話と同じ技法で映像でもノベルでも面白い作品形態なのです。
これをコメディ作品ではないものへと拡大する人も出てくるのではと思っていた
のですが、後が続きませんね。

作品のタイプを選ぶのかも知れません。

それにこのタイプの作品には欠点もあって、絶えず仕掛けをして変化を
つけなければ単調な作品になってしまいます。

情景や背景描写をしないだけにともすればキャラクターの面白さだけで
は持たないところがあって、文章そのものに仕掛けや変化を必要とする
場合がある。

また作品そのもののセンスも問われるでしょう。


なかなか大変な作業なのですが、短編集の「スレイヤーズ・すぺしゃる」
のはじめのころは作者も意識していましたが、だんだんやらなくなって
殆どルーティンワークになっていましたね。

それに、「神坂」さんの作品は「スレイヤーズ」シリーズはヒットとして
アニメにもなっていますが、他の作品はあまり人気がないようです。
今はあまり知らないのですが、「スレイヤーズ」シリーズ、続いていれば
良いですが。
今でも続いているとすればかなりの数ですし、漫画作品並みとなりますね。

この作品も今のライトノベル人気を築き上げた作品の一つです。


話戻って、「上遠野浩平」さんの他の作品ですが、映像化に関しては
なんとも言えませんが、自分の好きな「ナイトウオッチ」シリーズは
アニメ化にも映像化にも向かない気がします。

映像化しても思い切った演出をしなければ面白いものにはならないと思え
ます。
「物語」シリーズは原作を知らないのでアニメとしてどう演出しているのか
は分からないのですが、「ブギーポップ」も今アニメ化すれば「物語」
シリーズのアニメのような作品になるのではないかと思えます。


3Dアニメがもっと進化すれば、もっと面白いものも作れるかも知れませんが。
怪獣映画も含めて、3Dアニメの進歩には期待しています。

「ソウルドロップ」シリーズでも映像化は困難ではありません。
普通にアニメにも実写化にもできると思うのですが、面白いものになるかと
なるとやはり違うと思いますね。

演出力が必要となってくるでしょう。

これらを原案に、映像用の作品を作っていった方が良い作品になるのでは
ないかと思っています。


今回は古い、ライトノベルと呼ばれ始めた頃の人気作品を取り上げてみました。
それでは、次回またお会いいたしましょう。

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